

- 所属・役職
-
獨協医科大学日光医療センター病理診断科・教授
- 氏名
-
山口 岳彦
- 略歴
-
1986年獨協医科大学卒業。1992年獨協医科大学大学院修了。
1996-1997 Hospital for Special Surgery (NY), Research Fellow.
1997-1998 Montefiore Medical Center (NY), Research Fellow.
獨協医大、札幌医大、自治医大を経て2019年から現職。
現診療科を選んだきっかけ
大学卒業後、骨腫瘍に興味があり整形外科に入局し、当然のように整形外科的な画像診断を学び、その後大学院に進み病理と出会いました。病理学教室での生活は臨床科と全く異なり、当初はその環境に戸惑いましたが、組織学的に対象疾患の本態を理解できるようになるにつれ、今まで接してきた画像所見の理解が深まることにおおいに興味を感じました。優れたmentorに出会えたこともあり、大学院修了を期に病理学分野を選択した次第です。
病理診断科・臨床科・放射線科の連携で学んだこと
古い話ですが、私が大学院時代に所属病院にMRIが導入されました。X線やCT scanとは全く異なる画像に戸惑いを隠せなかったものの、当時毎週行っていた整形外科、放射線科との腫瘍カンファレンスで、放射線科医からMRIの読影方法を丁寧に教えて頂くことができました。この経験が、その後の私の診療・研究に多いに役立っています。
骨腫瘍診断では、Jaffe’s triangle という概念があります。骨腫瘍の正しい診断および最適な治療のためには、放射線科医・病理医・臨床医の三者が各分野の知見を持ち寄りそれぞれの骨腫瘍症例を診断するというものであり、この日本画像医学会の基本理念でもあります。Jaffe’s triangle は3分野の専門家が単に集まれば良いというものではなく、放射線科医であれば、病理学や臨床の知識を持ち合わせた上でという但し書きが付きます。私の師であるDr. Dorfman は世界的な骨腫瘍病理医でありながら、放射線科医顔負けの画像診断医でもあり、実際に病理だけでなく放射線科のProfessorの称号も得ていました。私も、放射線診断学を学んだことにより、この組織所見ではこのような画像になるのではないか、この画像所見ならこのような組織反応が生じているのではないかといった視点で対象を見ることができるようになりました。かつてAFIPに留学された日本の放射線科の先達方は、必ず一定期間病理に配属され画像に反映される組織学的知見を学んだと聞きます。近年は専門分野の細分化が進み、なかなか他の領域を勉強する時間が取りにくくなっていますが、診断学は視野を広くして診断に臨む必要があるため、放射線科医であっても病理学の基礎知識を身につけることを強くお勧めします。病理学の知識を持つことにより、画像診断時に病変で生じている組織学的な変化を推測できるようになり、また組織所見を反映する画像所見を深く理解できるようになるはずです。
実際に私が病理医として放射線診断学を学んだことは、代表的な私の研究成果である転移性骨腫瘍の臨床病理学的研究、良性脊索細胞腫の再発見、大腿骨頭圧潰機序の検討に強く反映されています。放射線診断学の視点がなければ、これらの仕事は果たせませんでした。


若手の先生方へのメッセージ
日本画像医学会は、放射線科医だけでなく各分野の第一線で活躍する病理医や臨床医と接することのできるユニークな学会であり、他科の先生方と知り合える絶好の機会です。所属する病院の病理医や臨床医と親しくなることはもちろん重要ですが、興味のある対象を専門に持つ病理医や臨床医がいるとは限りません。日本画像医学会を通して知り合った病理医や臨床医との交流がやがて友人関係となり、普段から連絡を取り合える仲になれることを願ってやみません。このような関係を得ることで、医師としての能力の向上はもちろん、人間性の生長に大きく貢献するはずです。

