レントゲンカンファレンス症例・解答と解説
第20回 日本画像医学会 (2001年2月)
No.5症例5:72歳、女性
診断:totally thrombosed
renal artery aneurysm
- 【画像所見】
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- 図1:
- やや高濃度のheterogeneousなmassで辺縁には石灰化もあり.
- 図2:
- MRでは内部は陳旧性出血を疑う所見である.造影は腎不全もあり,未施行であった.
- 図3:
- 大動脈造影するも左右腎動脈を同定できず.またアンギオ検査では腎動脈を選択できなかった.
- 【解説】
- 部位やCT, MR所見から血栓化した腎動脈瘤が最も考えやすいように思われた.しかしながら,アンギオで証明されなかったことから画像的には確定できなかった一例である.臨床的にサイズが増大傾向にあることから腎動脈瘤そのものの増大の他、腫瘍の可能性をも考慮し,手術となった.手術では腎動脈瘤が確認され,腎摘出後の標本からは動脈瘤内部はほぼ血栓化し,ヘモジデリン貪食細胞の増生,壁内石灰化が証明された.透析の長い患者では腎動脈のflowはほとんどないと考えられるがこのような状態でなぜ腎動脈瘤にサイズ増大が生じたのかは不明である.ここで鑑別として挙げなければならない疾患は嚢胞性腎癌である.嚢胞性腎癌が腎外性に発育し,病変部と正常腎実質との境界が不明瞭であった報告があるが,parapelvic cyst類似の発育を示す症例や境界明瞭な腎の圧迫所見のみで腎由来の嚢胞性病変と診断するのが困難な症例も報告されている.また嚢胞性腎癌嚢胞壁にリング状の石灰化や内部に出血を認めた報告もあり,腎癌の石灰化はそれほど稀な所見ではない.
- 【参考文献】
- 武井一城,三上和男,内藤仁.既存腎石灰化病変の輪状発育により発見された腎細胞癌の一例.泌尿紀要 1997;43:491-494.