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レントゲンカンファレンス症例・解答と解説



第35回 日本画像医学会 (2016年2月)

No.108症例8:50歳代 女性
【患者情報】
主訴:
下腹部痛
病歴:
上記にて当院受診、CTで腹腔内に腫瘤を指摘された。
既往:
喘息
血液検査:
CA19-9 56.7 U/ml
【画像所見】
CT
右下腹部に境界明瞭で内部不均一な8㎝大の腫瘍。
MRI
腹腔内に境界明瞭で内部不均一な8㎝大の腫瘍。
T1強調像で低信号、T2強調像で束状の低信号を含む高信号。
【病理所見】
マクロ像
回盲部漿膜下層に存在する130×80×70㎜大の境界明瞭な結節性腫瘤。
ミクロ像
大部分は固有筋層~漿膜下層に存在。強拡像で紡錘細胞の増殖と膠原繊維の増生を認める。
β―Cateninが陽性。CD34、c-kit、S-100蛋白、Desmin、等の免疫染色はいずれも陰性。

確定診断:デスモイド腫瘍(Desmoid tumor)

【デスモイド腫瘍】
組織学的に
①分化した繊維芽細胞の増殖
②浸潤性発育
③増殖した細胞間に膠原繊維が存在
④組織的悪性所見を欠き、核分裂像はない
⑤遠隔転移はないが局所再発を繰り返す
と定義されている。
2-4人/100万人/年に発生
腹壁(49%)・腹壁外(43%)・腹腔内(約8%)に分類される。
30から40代、わずかに女性に多い。
【危険因子】
家族性大腸ポリポーシス、Gardner症候群、外傷、術後、妊娠など
【治療】
外科的な摘出が原則。十分なマージンを取った切除が望ましい。
切除不能な場合は放射線療法や化学療法、ホルモン治療も考慮される。
【画像所見】
CT
様々な濃度・造影効果の軟部腫瘍
MRI
様々な信号・造影効果の軟部腫瘍。膠原繊維束がT2強調像で低信号のbandを形成、再発巣や増大速度の速い病変がT2強調像で高信号を呈する。
PET
平均のSUV値 4.1(range,1.0-8.1)との報告がある。
鑑別診断:悪性リンパ腫、転移性腫瘍(e.g. 腹腔内播種)、腸管腫瘍(e.g. GIST)、神経鞘腫、孤立性線維性腫瘍など
【結語】
画像のみで確定診断に至ることは困難だが、局所再発をきたしやすく、腹腔内で増大傾向にある腫瘍の鑑別診断の一つとしては重要である。