レントゲンカンファレンス症例・解答と解説
第36回 日本画像医学会 (2017年2月)
No.118症例8:30歳代 女性
診断:軟骨無形成症
- 【画像所見】
- 椎弓根や椎弓根間距離の短縮による脊柱管の狭窄。
椎体後縁の陥凹 posterior scalloping
著しい腰仙部の前弯。
椎間板の軽度膨隆(L2/3レベル)。
- 【鑑別診断】
- down syndrome achondroplasia(hypochondroplasia)
Morquio disease congenital hypothyroidism

- 図1 腰椎2方向レントゲン
椎弓根や椎弓根間距離の短縮による脊柱管の狭窄。椎体後縁の陥凹 posterior scalloping。
著しい腰仙部の前弯

- 図2 頭部CT(骨条件)
大後頭孔の狭窄を認める。

- 図3 頚椎MRI
歯突起の低形成。椎体後縁にposterior scallopingを認める。
解説:軟骨無形成症 achondroplasia
- 【概要】
- 軟骨無形成症は四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表で、特徴的な身体所見と骨X線像から診断される。線維芽細胞増殖因子受容体3型(FGFR3)の異常により引き起こされる。脊柱管狭窄のため中高年になると両下肢麻痺を呈したり、下肢アライメントの異常による変形性関節症を発症し歩行障害を生じたりすることが少なくない。
- 【単純X線検査・MRI所見】
- 軟骨内骨化によって成長する部分 の短縮,低形成と脱性骨化の相対的過剰によって説明 できる.
- 脊椎(正面、側面)
椎弓の短縮のために脊柱管は狭窄し,脳脊髄液の拍動に対するリモデリングの異常の結果、椎体後縁は後方凹となる(posterior scalloping)。椎体終板の軟骨内骨化遅延のために, 椎体辺縁は丸みを帯びており,posterior scalloping と合わせて,椎体は小弾丸様bullet-shapedに見える。椎体の上下径は短縮しているが,posterior scallopingによる前後径の減少のために椎体は扁平には見えない。
正常の腰椎椎弓根間距離は,頭側から尾側に向かう につれて広くなるが,逆に,尾側に向かうにつれて狭くなる(interpediculate narrowing)。これは診断上重要な所見であるが,乳児期には目立たないので,注意が必要である。
歯突起低形成や環軸椎亜脱臼を認めることもある。
- 頭蓋
前頭部突出(frontal bossing)、頭蓋底の短縮、大後頭孔の狭細化、顔面骨の低形成、下顎骨の突出を認める。
- 骨盤 (正面)
Y軟骨部の軟骨内骨化成長阻害の結果,腸骨の遠位側は短縮して,坐骨切痕部は著しく短くなる。このため小骨盤内縁は,シャンペングラス様に見える。 臼蓋は水平となる(horizontal acetabular roof)。腸骨翼は扇状に軟骨内骨化により成長する.この成長が侵されるため,腸骨翼は低形成となり,方形 squaringとなる。腸骨はアフリカ象の耳 African elephant ear appearanceとか,墓石状tombstoneと形容される特有の形をしている。
- 四肢(正面)
管状骨は太く短い。骨幹端やapophysisに面する部位でのcuppingが見られる。
- 【参考文献】
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- 西村玄 Achondroplasia 骨系統疾患X線アトラス―遺伝性骨疾患の鑑別診断 (医学書院) p35-39
- Wakely SL. The Posterior Vertebral Scalloping Sign. Radiology 2006; 239:607–609
- Wolfgang Dähnert. Radiology Review Manual. LWW. (2011).p42-43.p223-224
- 丹羽 徹・相田典子. 20 (5) 軟骨無形成症 第2章 脊椎脊髄の先天奇形 エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版(三輪書店)p127-128
- 森 墾. 1 頭蓋底部奇形 第8章 頭蓋頚椎移行部疾患 脊椎脊髄の先天奇形 エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版(三輪書店)p574-576