レントゲンカンファレンス症例・解答と解説
第37回 日本画像医学会 (2018年2月)
No.123症例3:7歳男児
- 【主な所見】
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診断:Fibrodysplasia ossificans progressiva (FOP)/進行性骨化性線維異形成症
- 【FOPについて】
- 全身の骨格筋・腱・靱帯などの線維組織が進行性に骨化する指定難病の一つで、国内には約80人の患者が存在する。常染色体優性遺伝の病態だが、多くは孤発的に発症する。FOPの早期には軟部組織に腫脹や腫瘤が生じ、時に熱感や疼痛を伴うフレアアップとよばれる現象が起こる。フレアアップの消退を繰り返しながら、3〜5歳頃から徐々に異所性骨化が出現する。異所性骨化は体幹部(後頸部や傍脊柱)や肩甲帯・股関節周囲から始まり、四肢末梢へ進行することが多い。関節や体幹の強直・変形を来たし、呼吸障害・摂食障害に至ることもある。外傷に加え生検や手術などの医療的介入がフレアアップの誘因となるので、FOP患者に生検・切除は行うべきではない。一方で早期のFOPは異所性骨化がないので診断が難しいが、母趾の形態異常(外反を伴う短趾が多い)は早期診断の重要な手がかりとなる。
FOPの主な画像所見であるが、早期にはフレアアップを反映した筋肉および皮下の浮腫性変化がみられ、進行すると骨間や軟部組織の異所性骨化がみられる。FOPは希少疾患であり、病態解明がなかなか進まなかった事もあって現時点で根本的治療法はない。進行を抑えるために、フレアアップの予防が重要である。しかし近年iPS細胞を活用した病態解明・創薬研究が進み、ACVR1/ALK2遺伝子の変異が異所性骨化を引き起こす原因であることが明らかになった。またこのシグナル伝達を阻害する薬剤としてmTOR阻害剤が同定された。2017年より京都大学医学部附属病院でRapamycinを用いた治験が開始されており、FOPに対する有効性が期待されている。