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レントゲンカンファレンス症例・解答と解説



第38回 日本画像医学会 (2019年3月)

No.139症例9:77歳 女性
【画像所見のまとめ】
Xp

両側股関節置換術後。
心拡大は軽度。
胸水貯留は目立たない。
腫瘤部にあたる部位は目立たず、石灰化もない。
CT・MRI

左下腹部皮下に不正な腫瘤形成を認め、出血を伴う。
腫瘤部に明らかな脂肪、石灰化は指摘できない。
増強効果は比較的強い。
腫瘤と大きく離れた部位でも
皮膚の肥厚、皮下の浮腫性変化が目立つ。
病歴と併せてリンパ浮腫を反映した所見と考えられる。

診断:リンパ浮腫部位に生じたAngiosarcoma
(Stewaert-Treves症候群)

【Stewaert-Treves症候群】

リンパ浮腫部位にはAngiosarcomaが生じやすい。

乳癌術後の上肢のリンパ浮腫患者に生じたLymphangiosarcomaの症例報告をはじめとする。

リンパ浮腫患者の0.1%にAngiosarcomaが生じるとされ、Angiosarcomaのうち5%がこの機序によるものとされる。

詳細な機序は不明だが、リンパ浮腫状態において生じる

  • 抗原提示細胞等免疫機序の機能不全
  • 高栄養状態
  • 血管増生の促進
といった複数の因子の関与が推定されている。

本症例では胃癌の腹腔鏡手術のさいのポートサイト近傍から発症している。
外傷の発症への寄与を示唆するような報告が散見されている。
想定されている腫瘍の発症機序からは外傷が腫瘍発生の誘因となることは想像しやすいが、真に関与しているかは不明である。

【参考文献】
  1. Case Rep Oncol 2016;9:205–211
  2. Eur J Dermatol 2006; 16 (3): 290-2