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レントゲンカンファレンス症例・解答と解説



第28回 日本画像医学会 (2009年2月)

No.60症例2:40歳代、男性

診断:心臓原発血管肉腫

【所見】
単純CTでは右心房の拡大と心嚢液の貯留がみられる.この心嚢液はやや高吸収であり,血性の心嚢液が疑われる.造影後のCT では右心房内腔の大部分を占拠するような腫瘤がみられる.腫瘤内部の造影増強効果は不均一で,造影早期に線状の増強効果がみられ,後期に腫瘤内部に比較的広範に増強効果がみられる.腫瘤の境界は不明瞭で右心房壁の同定は困難である.また心嚢内と考えられる部位に腫瘤と連続する結節性病変がみられる.このほか右心室,左心房,左心室には異常はみられない.
【解説】
心臓の原発性腫瘍の頻度はきわめて低く,その中でも悪性腫瘍の頻度は低い.しかし心臓原発悪性腫瘍の中では血管肉腫の頻度が最も高いとされる.心血管肉腫は内皮細胞由来悪性腫瘍である.この心臓原発血管肉腫はきわめて予後不良の疾患であり,その平均余命は 4 ~9 ヵ月とされている.これは心血管肉腫の初発症状が呼吸困難や胸痛など非特異的な症状が多く,また進行が早いため初診時にすでに他臓器に転移をきたしている場合が多いことが挙げられる.心血管肉腫は右心房に発生することが多く,本症例のように右心房に腫瘤を形成しているタイプが多い.また心血管肉腫は腫瘍が心内膜を含め全層性に増殖し,時に心嚢腔にまで増殖がみられることがある.これらの所見が心原発性腫瘍の中で最も頻度の高い粘液腫と異なる.良性腫瘍である粘液腫は左心房に発生することが多い.また有茎性でかつ可動性であることが多い.これらの所見から粘液腫とは容易に鑑別できると考える.