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レントゲンカンファレンス症例・解答と解説



第28回 日本画像医学会 (2009年2月)

No.62症例4:40歳代、女性

診断:solitary fibrous tumor

【所見】
CTでは、肝右葉外側区域(S6)に接して、その内側に、肝実質よりもやや低い濃度を呈する腫瘤性病変を認める.腫瘤と肝実質との間に脂肪は認められない.造影検査では、動脈相においてやや肝実質よりやや低い濃度で不均一に染まり、静脈相では肝実質よりも濃染している.MRIでは、T2WIにて、肝実質よりもやや高い信号強度を呈し、DWIでは、肝実質より高い信号強度を呈している.超音波像では、腫瘤は肝実質よりも低エコーレベルを呈する充実性腫瘤として描出され、腫瘤の内部エコーはやや不均一であり、腫瘤と肝との間には脂肪が認められた.なお、血管造影では、静脈相にて濃染する腫瘤を認める.
【解説】
Solitary fibrous tumor(SFT) は、localized fibrous mesotherioma, pleeural fibroma, submesotherial fibroma, localized benign mesotheriomaなどと様々な病名で報告されてきた、主として胸膜に発生する腫瘤である.中皮細胞由来の腫瘍と考えられていたが、電顕的に上皮細胞様の変化が認められず、さらにkeratin, EMA染色が陰性であり、肝葉系細胞由来を示すvimentin染色陽性であることより、現在では中皮下の肝葉系細胞由来であると考えられている.SFTの発生率は人口10万人あたり2.8人と比較的稀であり、好発年齢は60~70歳代で、男女比は48:52と性差は認められない.また、現在では発生部位も胸膜に限らず、髄膜、頭蓋内、眼窩、鼻・副鼻腔、甲状腺、肝、腎、腎盂、腎被膜、前立腺、精索などの実質臓器や後腹膜腔、骨盤腔、軟部組織などから発生したものが報告されている.SFTの大部分は良性といわれているが、局所浸潤や再発、遠隔転移例も報告されている.SFTの確定診断は病理組織検査により行われるが、組織所見は多彩であり、不規則に増殖した類円形や紡錘形の腫瘍細胞を認め、細胞間には膠原線維の形成を認める.様々な細胞密度を有する部分が混在し、腫瘍細胞はstoriform pattern, 索条配列、核の棚状配列などを呈し、herringbone patternを見ることもある.小血管が豊富で、hemangiopericystoma様構造をが見られることは特徴的所見とされている.
画像所見は、上記の如き様々な組織所見を反映するため、逆に特徴的所見といえるものはあまり存在しない.